
「男はつらいよ」寅さんと家族の思い出
私は小さいころから、夜9時からテレビでやっている映画を、家族みんなで見るのが好きでした。
なかでも『男はつらいよ』が大好きで、意味はよく分からないながらも、寅さんの表情や感情の豊かさに、なぜか惹かれていました。
それに、両親が寅さんのことを本当に好きなのが伝わってきて、私も自然と好きになったのかもしれません。
大人になって改めて『男はつらいよ』を見返したとき、ふと気づいたことがあります。
魅力的なのは、寅さんそのものというより、寅さんを支える周りの人たち──
さくらや、おいちゃん・おばちゃん、たこ社長、住職さんたちの、半分呆れながらも、半分愛おしく見守る、あたたかい愛情でした。
旅先で寅さんにお世話になった人が、とらやを訪ねてきます。
すると決まって、おいちゃんやおばちゃんが「どうせ寅が迷惑かけたんでしょう」と心配します。
でもそのお客さんは決まって「いえいえ、寅さんには本当にお世話になって、また会いたくなって来たんです」と言う──
この、ちぐはぐだけど心の通ったやりとりが、たまらなく好きです。
改めて見返すと、寅さんはけっこう最低なんですよね笑
さくらにお金を持ってきてもらったり、身内に八つ当たりしたり、メロンが自分の分だけなかったと怒ったり笑
でも、そんなめちゃくちゃな寅さんを、家族みんなが放り出さず、受け止めている。
完璧じゃないけれど、そこにちゃんと愛がある。
不器用だけど、義理と人情がある。
そんな家族のかたちが、今はどんどん失われてしまっている。
だからこそ『男はつらいよ』は、見る人の心に沁みるのかもしれません。
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