
聖徳太子と田中角栄に学ぶ、したたかな外交の知恵──必要なら交渉、無礼なら拒否、相手を読む
外交の原則は、もっとシンプルでいいのかもしれない
外交というと、どうしても難しく聞こえてしまうかもしれません。
ですが、歴史を振り返ると「案外シンプルだな」と思える瞬間があります。
それが、必要なら交渉する、無礼なら毅然として拒否する、相手の事情をよく読むという原則です。
この3つさえしっかり押さえていれば、強国相手でも飲み込まれず、かといって無駄に敵対することもなく、したたかに渡り合えるのです。
実際に、聖徳太子も、田中角栄も、この原則を見事に体現していました。
超大国・隋を相手にした聖徳太子の「絶妙な間合い」外交
600年代の日本。
中国大陸では、隋が圧倒的な力を持っていました。
普通の感覚なら、「従うしかない」と思うところです。
しかし聖徳太子は違いました。
「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す」
この有名な文言は、日本が対等な独立国であることを隋に示すものでした。
当然、隋の皇帝は不快に感じました。
ですが、当時の隋は高句麗との戦争を控え、東アジア情勢が緊迫していた状況でもありました。
聖徳太子は、こうした相手の事情をしっかり見極めた上で、
「今なら強く出ても決裂しない。でも出過ぎれば火種になる。」
という、絶妙な**塩梅(あんばい)**をもって外交に臨んだのです。
必要な文化や技術は受け入れつつも、対等な立場は崩さない。
まさにしたたかで賢い外交だったと言えるでしょう。
アメリカ頼みを打破した田中角栄のしたたかな決断
時は流れて1972年。
アメリカが日本に何の相談もなく、突然中国と接近する「ニクソン訪中」が行われました。
日本は完全に蚊帳の外です。
この時、田中角栄は毅然とした対応を取りました。
「アメリカが行くなら日本も行く。」
すぐに中国を訪れ、日中国交正常化を実現させたのです。
ただし、これは「親中」だったわけではありません。
彼の狙いは、
✅ 中国市場を手に入れ、アメリカ依存から脱却する
✅ 石油など資源調達先を広げる
✅ 日本の立場を強くする
つまり国益のための交渉でした。
ここでも、
必要なら交渉する、無礼なら毅然として拒否する、相手の事情をよく読む。
このシンプルな原則が貫かれていたのです。
今こそ思い出したい、交渉・拒否・相手を読むという基本
今、世界は「自国ファースト」の時代です。
アメリカも、中国も、ロシアも、それぞれの都合で動き、日本に様々な圧力や要求を突きつけてきます。
こうした時代に求められるのは、
「味方か敵か」で考える単純な二元論ではなく、
必要なら交渉し、無礼なら拒否し、相手の事情を読むという冷静で柔軟な姿勢です。
これは、聖徳太子も田中角栄も実践してきた、まさに日本の外交の知恵と言えるでしょう。
外交は結局、シンプルな原則に立ち戻ることが大事
振り返れば、外交というものは、結局この3つに尽きるのかもしれません。
必要なら交渉する。
無礼なら毅然として拒否する。
相手の事情をよく読む。
このバランス(塩梅)を上手に保つことで、
日本はこれまで大国と渡り合い、自立した国家として歩んできました。
今の時代もまた、こうしたシンプルだけれど本質的な知恵が、改めて必要とされているのではないでしょうか。
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